士業, 相続登記, 義務化

相続登記の義務化で発生する問題点とその対応策

新しい不動産登記法に盛り込まれている相続登記の義務化は、法改正の背景となっている所有者不明土地問題の改善にある程度効果を発揮することが期待されています。しかし、その一方で義務となることで発生する問題もいくつかあります。例えば、相続登記の義務化によって、金銭的な問題が発生します。相続に伴う不動産の所有権移転登記の際には、固定資産税評価額の0.4%を登録免許税として納付しなければなりません。

相続によって取得した不動産の持ち主は皆、税金として数十万円もの出費を、相続登記の義務化開始後に強いられます。政府はこの問題への対応策として、所定の要件を満たした土地の所有権移転登記の際の登録免許税の免税措置をはじめています。また、期間に関する問題もあります。相続した不動産の所有権移転登記は、取得したことを知った日から3年が経つまでに行わなければなりません。

しかし実際には、戸籍関係の書類を集める作業が難航していたり、連絡がとれない相続人がいたり、相続人間の対立が多い等の理由で、3年間では遺産をめぐる話し合いがまとまらないケースが多いです。法改正で新設された相続人申告登記制度はこの問題に対応する対応策で、利用すれば不動産を取得する相続人が確定するまでの間は義務が免れることができます。相続登記の義務化は、不動産を相続したくないと考えている人にとっても問題になります。義務となることで、相続したくなくても所有権移転登記を行わなければならなくなるからです。

この問題の対応策として、相続土地国庫帰属法とよばれる新しい法律が改正不動産登記法や改正民法とともに用意されました。この法令で定める要件を満たした物件は、法務大臣からの承認を得られれば所有権を手放すことができます。ただし、10年分の管理費というとても高額な費用を予納する必要があります。

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