士業, 相続登記, 義務化

相続登記義務化の背景である所有者不明土地問題とは

2024年4月1日から実施される相続登記の義務化の大きな目的は、所有者不明土地問題の解決につなげることです。所有者不明土地は、政令で定められている方法にしたがって相当な努力が払って探索を行っても、所有者の全部又は一部を確知できない土地のことで、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法とよばれる法律の第2条で定義されています。不動産登記簿を見ても所有者がわからない物件はもちろん、所有者が判明していても、所在がわからず連絡もつかない場合も所有者不明土地に含まれます。所有者不在土地問題とは、国内の社会情勢の変化に伴ってこのような土地が増加している問題、および該当する土地の存在によって発生する様々な問題のことを指します。

所有者不明土地を放置することは、不動産の正常な取引や利用を妨げるだけでなく、不動産が存在する地域の環境や治安の悪化を招くことがあります。所有者が存在していれば直接苦情を入れたり、要請をしたりできますが、持ち主の所在が不明だと対処のしようがありません。また、土地の持ち主が不明であることは、課税の面においても持ち主に正しく税を課すことができないという問題があります。政府は、相続に関する登記が義務になっていないことがこのような問題を発生させている原因の一つであると考え、民法や不動産登記法などの改正案を準備しました。

2022年5月の時点では、まだ相続登記が義務化されていません。しかし、相続登記の義務化が実施された後は、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記手続きを済ませなければなりません。2024年3月31日以前に相続の開始があった場合であっても、相続に伴う不動産登記は遅くとも2027年3月末までに完了させる必要があります。亡くなった人から相続で取得した不動産がある場合は、それに伴う登記が完了しているかどうか確認しておきましょう。

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